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診断と治療

てんかん重積状態で長く続く発作や意識がない患者さんの診療は、迅速かつ適切に行う必要があります。

「てんかん重積状態」になったときの治療の流れ

医療機関においては問診、全身状態の確認とともに、まず気道の確保、酸素投与などを行い、お薬を投与するための血管を確保します。

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夏目淳. 小児科診療. 2015;78(2):177-181. より一部改変

発作が5分以上持続し、「てんかん重積状態」と診断された場合は、医師の判断により、速やかに抗けいれん剤が投与されます。
国際抗てんかん連盟(ILAE)からは、以下のとおり、「緊急治療を開始すべき時間」の時点で、抗けいれん剤による治療開始が示されています。

てんかん重積状態の分類 緊急治療を
開始すべき時間
後遺障害を残す可能性が
予測される時間
強直間代発作重積状態 5分 30分
意識低下を伴う焦点性発作重積状態
(複雑部分発作重積状態)
10分 60分超
欠神発作重積状態 10~15分 不明
Trinka E et al.:Epilepsia. 2015;56(10):1515-1523. より一部改変

「てんかん重積状態」の発作を止めるためのお薬

発作を止めるためには、「抗けいれん剤」という種類のお薬が使われます。
それぞれのお薬は、脳の興奮に対して「興奮系」または「抑制系」の神経伝達のはたらきを調整することで、脳の過剰な興奮を抑えます。

てんかん重積状態に使われる可能性のある主な抗けいれん剤

ベンゾジアゼピン系薬:
GABAといわれる「抑制系」の神経伝達物質のはたらきを強化し、脳の過剰な興奮を抑えます。
バルビツール酸系薬:
ベンゾジアゼピン系薬と同様にGABAのはたらきを強化し、脳の過剰な興奮を抑えます。
ヒダントイン系薬:
「興奮系」の脳の電気信号を抑制し、脳の神経細胞の興奮を抑えます。